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小さいころ服に穴があいていた理由

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服に穴があく

「あなたの服にはいつも穴があいていた。」
たまに母が言う。
「ひっかかってもそこで戻らずにそのまま進むから破れるんだ。」と思っているらしい。
違うよ。それは違う。間違ってる。
私は理由を知ってる。
なんでかって、自分で噛みついていたから。
小学校に入るよりもっと小さいころだったと思う。
多分、4歳とか5歳くらいじゃないだろうか。

なんでそんなことをしていたのか

自分の言いたいこととか自分が思ったこととか、それを受け入れてもらえなかった。
「自分はこう思うんだ」と伝えても、「そんなことはない」と言われる。
こんなに悲しくて、こんなに嫌で、こんな気持ちになったんだ、と言ってもその自分の気持ちすら否定される。
どれだけ説明しても、頑張って話しても、私の気持ちを受け入れて認めるどころか、逆にそれを投げ飛ばして違うところに着地させられる。思った場所に届かない。伝わらない、認めてもらえない。
気持ちに寄り添って、「そうだね」っていう一言だけでもあったなら、少しは違ったかもしれない。
でも多分きっと、本人にはそんなつもりはない。
私をそこまで追いつめていたという自覚なんて、絶対にない。
大人になった今、それを説明してもそれでも、認めない。そんなことぐらいはわかってる。
それくらい、行き場のない気持ちが渦巻いて、小さいころの私はその気持ちを表す場所もなくて、叫んで怒ったり暴れたりしようものなら、今度はそれを怒られて上から押さえつけられるだけだということが分かっていたから、静かに怒りをどこかにぶつけるしかなかった。
だから服を噛みついて、服に穴があいていた。
結局、服に穴があいてるって、気づいたときに絶対怒られるんだけど。

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